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11タイVol.1からのつづきです。

2011年 タイ旅行記 Vol.2

バンコク&アユタヤ・・・大学構内に週1で立つ市・モクタラ

旅程
3日目 モクタラ
シーナカリンウィロート大学の学生食堂
ヤワラート(バンコクの中華街)
4日目 BTS(スカイトレイン)
チャオプラヤー・エクスプレス・ボート
ワット・アルン
ワット・ポー
戦勝記念塔
5日目 帰国の途
●まとめ


食べたところ シーナカリンウィロート大学の学生食堂
ホテル近くの食堂
ターティアン船着場の食堂
オンヌット駅のTESCO Lotus (フードコート)
マクドナルド
ラマ9世駅のTESCO Lotus (フードコート)
閑話 ●モーターサイ
●スプーンの殺菌消毒は電気炊飯器!?
●タイのビニール袋文化
●アユタヤで出会った兵庫の青年
●スワンナブーム国際空港の中国人男性
●May I help you?
●地下鉄車中で

3日目    モクタラ(木曜タラート)&ヤワラート(中華街)編  今日の歩数=27802歩
モクタラ

バンコクには、ガイドブックにも載っていない観光の穴場がある。 木曜日の午前中だけ大学の駐車場スペースにたつ市場・木曜タラート(モクタラ)。 屋台体験も出来るらしい。日本人駐在員の奥様たちには、超有名だとか。

MRTのスクムビット駅で降り、スクムビット通りを東へ歩きソイ23の入り口に出たら、後は真っ直ぐ。 このあたりは、インド大使館や外国商社員などが住むセレブなマンションが立ち並ぶバンコクの高級住宅街。 昨日目にした近郊の街並みに比べると、まるで貧しい漁師が煌びやかな竜宮城に迷い込んだようにまばゆい。

迷うこともなく、シーナカリンウィロート大学についた。 が、この広い敷地の中のどこに木タラがあるのか。 程なく、白い傘の花が咲き競う木タラのテント発見。 衣料品、靴、魚、果物、骨董など、沢山の店がすでに開店していた。 それにしても、この規模の大きさよ。値段も、巷より2~3割程度安い。 あちこちから、日本語が聞こえてきた。

一軒づつ店を覗き歩いていると、気分は完全にお祭り。


ココナツジュース

揚げワンタン@20バーツ

玩具みたいに小さな握り生寿司

●果物屋さんの店先でココナツの実を見つけた。 早速 指差し購入すると、上部を横にカットしストローをさしてくれた。 これぞ、正真正銘の果汁100%。甘い。@25バーツ(≒68円)

●奥の店の揚げワンタンは、モクタラ名物。 即 買ってみた。おつまみに最適.麦酒が欲しい。@20バーツ(≒54円)

●イケ面くん2人が売っているのは、何故か生寿司。握り鮨の半分程の大きさのシャリにぐるりと海苔を巻き、 上に魚介類を乗せた軍艦巻き。 あまりに小さく、ままごとの様だ。 気温37度の炎天下に売れるまで置かれている生寿司を食べるのは、ちょっと勇気がいりそうだ。
11/02/17 シーナカリンウィロート大学の学生食堂

シーナカリンウィロート大学

次のお楽しみはシーナカリンウィロート大学の学食!♪

屋根と柱はあるが壁がないので、屋外の様な屋内。中央に飲食用の長机がずらりと設置され、両側には沢山の店が並ぶ。 まるで、フードコート。 雀が頭をかすめて通り抜けて行き、椅子の下では野良犬が惰眠をむさぼっている。

入口に有料ヘルスメーターがあった。 @1バーツ(≒2.7円)。 タイでは、駅、お土産屋など至る所に当然の如く置かれている。 タイ人は体重を量るのがお好き.

日本食の店、発見。「SIAM JAPANESE」。 トンカツ・揚げものなどなど。 和食と言えば和食だが、日本で食べたなら洋食。

それはともかく、流石は学生料金、どれをとっても激安。

カリー@30バーツ(≒81円)

(西瓜、メロン、パイナップル)@20バーツ

サラリーマン風男性たちの後に並んだ家人は、目を見開き耳ダンボにして情報収集。 順番がきて、前の人の皿を指差しオーダーした。 店のスタッフに「カリー?」と聞かれ、ただ頷く。 注文した家人自身、それがどんな料理なのか解っていない。

カリーは、カレーの様でカレーではない。 しかし、コクがありとても美味。 デザートに別の店で調達したフルーツは、バラバラにオーダーして三種全部で@20バーツ(≒54円)。 タイでは何もかもが安く金銭感覚が狂い気味だけれど、学食の安さはその極み。
閑話
モーターサイ

学校敷地内を縦横に走り回るバイク。 「タイの女子大生って彼氏のオートバイで大学へおくってもらうのね」。 にんまりと眺めていたら、運転の彼氏が皆そろいのオレンジベストを着用しているではないか。

これが、オートバイの後部座席に客を乗せて運ぶ「モーターサイ」。 「モーターサイクル」がタイ語で訛って「モーターサイ」と言われるようになったそうな。 運転するのは彼氏ではなく、お客を運ぶ運転手さん。

交渉次第でどこへでも行ってくれるので、渋滞の道では便利。 しかし、狭い路地では膝をぶつけたり、風でコンタクトレンズを落とすこともあるらしい。

料金はソイ(脇道)の中なら@10バーツ(≒27円)程度と、お値ごろ。 乗ってみたいのは山々なれど、乗車中はバランスを保たなければならないなど、 お客にもちょっとした技が必要らしい。
閑話
スプーンの殺菌消毒は電気炊飯器!?

右がスプーン消毒器
左の容器たちはソース

学食・フードコートなどでは、まとめて置かれているスプーン・フォーク・箸などの中から必要な分だけを取って使うのが、 タイだけではなく日本でも一般的。

さて、ここからがタイ流。
タイでは、傍にお湯を張った炊飯器が置かれ、それぞれがスプーンをお湯にくぐらせ殺菌消毒して使う。 ただし、このお湯、保温はされているが沸騰している訳ではないので、どの程度の効果があるかは不明。 「何もしないよりはいいか。」という気休め程度かもしれない。 が、この暑い気候の中で暮らしていくための自衛的食中毒対策。

日本で外食をする場合、日本人の誰もが、店の用意してくれたスプーンやフォークを、何の懸念もなく安心して使う。 そんな日本での当たり前が、文字通り「とても有難いこと」だったのだと、改めて思う。
11/02/17 ヤワラート(バンコクの中華街

金取引の店

ファランボーン駅東のエリアが「ヤワラート」と呼ばれるバンコクの中華街。 たった今、タイの近代街・スクムビット通りを徘徊してきただけに、 昔ながらの建物が立ち並びどことなくレトロな雰囲気を感じる。

巷の看板に漢字の文字が躍り出す辺りから、金製品を扱う金行が密集しだした。 中国人は、金行が大好きだそうな。「暑い。涼むか」。 家人と、金行の店内へ飛び込んだ。冷房を惜しみなくきかせた店内。 「なんて涼しいんだろ。極楽」暑気を払って、ほっと一息。 はたと見回せば、店内いっぱいに溢れた客たちが、店員を争奪するに忙しい。 皆さん本気モード全開で、熱気むんむんだ。 中国人は、経済的に強くないアジアの通貨を所持するよりも、金で保有するのが最も安定した蓄財法。 この店だけで、どんだけのお金が動くのだろう。 一気に熱が引いて、寒気がしそうな貧乏性な私。 金行密集地帯を抜けると、食品街。果物、乾物系はては衣類系や携帯ストラップ。 扱う商品も、実に多種多彩だ。

関帝古廟
(この直後、ご本尊の撮影禁止と大目玉をくらった)

ここチャイナタウンでは、店と店の間にさりげなくお寺があったりする。 たまたま出くわしたのが「関帝古廟」。 名前からして、きっと三国志の関羽絡みのお寺なのだろう。 中は、意外と狭い。後から後から来る人々が、思い思いに供物を購入したり拝観したりと大渋滞。 それを、寺の職員らしき人々が声を張り上げて誘導していた。 正面のご本尊にむかい何気にシャッターを押したら、 寺関係者らしき人が胸の前で左右の手をクロスさせて×をつくってみせた。写真撮影は禁止だったのか。失敬。

金行街の大通り沿いの露天、横に走るソイにエンドレスかと思うほどに立ち並ぶ店。 平日なのに、体を斜にしなければ通れない程に混み合っている道。 たちこめる食べ物の臭い。混沌とした活気こそが、ヤワラートそのもの。
ホテル近くの食堂

FryRice@50バーツ(≒135円)

トムヤムクン@50バーツ(≒135円)

夕飯は、ホテルへの道・ソイYucharoen角の食堂で。 ここは、地元の人々が利用するごく一般的な店。 昼間の学食同様、建物は屋根と柱はあるが壁がない吹き抜け構造。 簡易的なテーブルにプラスティックの丸椅子が置かれ、学校祭の模擬店を思い出す。

客は、疎ら。食事時の大賑わいを、昨日から横目で見てきただけに、ゆっくり注文出来そうでほっとする。 まもなく別々に来店した西洋人2組が、まったりと麦酒を傾け始めた。絵になる。

「とびっきり美味しいモノを食べよう」と見回せど、写真入りのメニューがない。 指差し注文に味をしめている家人も、これではお手上げ。 メニューの中のかろうじて英語表記のあるものの中から、FryRiceとトムヤムクンと推測される文字を拾いだした。 さて、どんなものがやってくるのか。ドキドキとワクワクと一抹の不安と。 ソイに面して置かれたコンロで、道行く人々を眺めながら大きなフライパンを勢いよく煽る中年の女性店員。あのフライパンの中身、あれが我らのFryRice。

美味い。FryRiceは、日本のチャーハンそっくりで、パラパラの白米が絶妙。 これぞ タイ米の良いとこ取りという感じ。 味付けも日本人好みだ。一方、トムヤムクン。 名の由来は、海老を煮て混ぜたものという意味で、世界3大スープの1つ。 ここのトムヤムクンは、海老入りスープだ。 あっさりしているのに深いコクがズシンと強烈な一撃となり、胃袋をパンチ。

あなどれまじ、巷の食堂。
4日目   暁の寺&巨大涅槃仏、BTS(スカイトレイン)初体験 編   今日の歩数=23908歩
BTS(スカイトレイン)


BTS

今日はバンコク市内観光。今回のツアーについてきた「BTS一日券」を使ってみる。

BTSは、1999年12月5日の国王誕生日に合わせて開通した高架式鉄道。 2路線で、列車は3両編成。車両もスマートなら乗客もどことなく垢ぬけている。 車窓からの眺めも近代都市そのもの。アユタヤへの鉄路から見えた景色と較べると、天と地ほども違う。 料金は、最低15Bで数駅ごとに5Bづつ加算され、最高が40B(≒107円)。ちなみに、一日券は120B(≒324円)。

地下鉄・ラマ9世駅から地下鉄・シーロム駅へ行き、BTSに乗り継ぎタクシン駅で船に乗る。 現地ガイドさんにBTS一日券を渡された時 「使う時は初回には必ず駅の窓口に提示するように」と言われていた。 指示通り窓口で一日券を差し出すと、職員の女性は券を一瞥し、 すぐにつまらなそうに首を横に振り「しようがないわね」とでも言いたげに、外を指差した。 ここは、地下鉄の窓口だったのだ。BTSの券を地下鉄に提示して、どうするねん。

11/02/18 チャオプラヤー・エクスプレス・ボート

ワット・アルンの船着場

船のチケットは、どこで買うのだろう。
サートーン船着場・中央に建つチケット販売所には、外国人がひっきりなしに来ては財布を開く。 ここは、数箇所の観光地を巡るツアー用。 行きたい所はピンポイントなので、一般乗合のオレンジ船(13B)が良い。 やがて、オレンジの旗をたてた船がやってきた。 凄い混みようで身動きが出来ない。 人の隙間から見えるチャオプラヤー川は、淀んだチョコココア色。 おまけにゴミがぷかぷかと漂っていた。

幾つかの船着場を経た頃、青い制服の女性が大声を張り上げながら、集金をはじめた。 目があった。本には1人@13Bと書かれていたので、2人分26Bを掌に乗せたら、大きく首を振って言う。 「トゥエンティナイン」。 え?、29B(78円)か? じゃぁ、1人14.5B?2人だからすっきり支払えるけれど、1人で乗ったら小数点以下はどうやって払うんだろう。 この日の午後、バンコクの道端でツレが小さな硬貨を拾った。 それは、1Bよりも小さい単位のお金だった。 観光客は、B(バーツ、1バーツ≒2.7円)よりも小さな単位のお金を手にする機会はほとんどないが、 現地の人々はこういう単位で生活を営んでいるのだと、改めて思う。

取り敢えず、船には乗れた。料金もなんとか支払った。次なる関門は、どこで降りるかだ。 船はスピーディーに次から次へと船着場へ寄るが、イモ洗い状態なので外の景色が見えない。 到着地のアナウンスも一切ない。しかも、船着場に着いてから客が降船し乗船する時間の、何と短いことか。 人を掻きわけて、やっと船着場側の船の端に張りついた。と思う間もなく、降りる予定のターティアンに到着。 もう少し遅かったら、降りそびれるところだった。危機一髪。

実は、サートーンからワット・アルンへ直接行く船がない。 よって、まずはターティアンへ上陸し、そこから渡し船@3B(≒8円)で対岸のワット・アルンへ行き、 観光後ふたたび渡し船でターティアンに戻り、ワット・ポーを観光して 、往路と同じくオレンジ船でBTS駅タクシンを目指すという煩雑さ。 渡し船は観光客とともに現地の人達の日常の足でもあるが、 バンコク市内の川はこの周辺と一部を残して、多くが埋め立てられてしまったそうな。
11/02/18 ワット・アルン

ワット・アルン(暁の寺)
手前がチャオプラヤー川

大塔
中央の階段を一心に上る

大塔上の「神の使者」
3つの頭を持つ象神に乗った
インドラ神

モック(猿神)・ヤック(鬼神)
陶器の破片が陽に反射して煌く

場所は、チャオプラヤー川の西岸。 トンブリ王朝のタクシン王は、この地に王朝をひらき寺院を建立した。 その名、ワット・アルン。 別名・暁の寺。王朝の菩提寺という意味から、ワットチェーン・夜明けの寺と名付け“暁の寺”と呼ばれるようになった。 日本では、作家・三島由紀夫の小説「暁の寺」の舞台として有名。入場料@50B。

ワット・アルンの船着場を降りると、記念撮影用の書き割りが並んでいる。 前を歩いていた日本女性の観光客が、突然指を指して叫んだ。 「あ、これこれ、ここから顔を出して写真を撮るとお金を取られるって、地球の歩き方に書いて。」。 私もその記事、読んだゾ。 無料と思って撮影すると、有料だったと。 確かに、横の看板に40Bと書かれているが。 少し離れた所で、おばさんがにこりと笑った。この人が料金徴収係か。

ワット・アルンは、大仏塔の周囲を4つの小仏塔が取り囲む。 大仏塔は、ヒンドゥー教のシヴァ神の住むカイラーサ山を模したもので、途中まで登って一周することが出来る。 しかし、その階段の急なこと。 恐る恐る上から下を見下ろすと、今登ってきた階段が垂直の絶壁に見え足がすくむ。

塔群はバンコク様式で、塔の表面に埋め込まれた陶器の破片は中国美術の影響を受けたものだそうな。 タイと中国とインドと、ちょっとクメールと。 大塔の上に立てば、眼下に広がるバンコクの街。 対岸のワット・ポーと王宮のあまりの美しさに、しばし言葉もない。 なんて雄大な景色なのだろう。 潜りぬけてきた悠久の歴史が薫りたつような、エキゾチック・タイランド。
11/02/18 ワット・ポー

大涅槃仏(右が足の指・左が顔)
大きすぎて写真に納まりきらない


足の裏は、超人の印として偏平足
バラモン教の宇宙の真理が
真珠貝などをはめ込んで描かれている

ここで有名なのが、巨大な涅槃仏。建物の大部分を占める程に大きい。 あまりの大きさに、写真におさめるのが一苦労。

余談
船着場から市場を抜け、道を渡った所にある入口から「ワット・ポー」の敷地に足を踏み入れた。 ゾロゾロと続く人波に呑まれる様に院内を拝観し、出口へ出た。 不思議な事には、チケット売場には一度も遭遇していない。 結果、私たちは拝観料を未払い。「地球の歩き方」を参照すれば@50B。 あの人の流れは、何だったのだろう。狐につままれた様な気分。

足元の鉢に1個づつ硬貨を入れ煩悩を捨てる

本堂では涅槃仏に金箔片を貼る

お堂に入ると、どこからともなくカランカランという音が聞こえてきた。 大涅槃仏・裏側の壁際に並んだ108個の壺に、20Bで購入した108個の小銭を願い事を唱えながら1つづつ入れて行くと、 願いが叶うそうな。タイ人も外国人も、真剣そのもの。 願いを叶えたい思いに、国境はない。
11/02/18 ターティアン船着場の食堂

食堂とチャオプラヤー川
(右のドリンク広告の所が我らの席)

ワット・ポーを後にして市場を抜けると、そこはさっき降り立ったターティアンの船着場。 再び乗船し、BTSタクシン駅のサートーン船着場へと戻る予定。 とその時、胃袋を刺激するい~い臭いが漂って来た。

チャオプラヤー川上に高床にして作られた船着場の食堂は、壁がなく吹き抜けで風通しが良い。 通路から中を覗けば、外国人や子連れカップルがのんびりと寛いでいた。 一幅の絵を見ているようだ。「よし、ここでお昼ご飯にしよう」。


待つこと10分。川に面したスペシャル席へ案内された。ついてる。

レモン・アイスティー
25B(≒68円)リプトン

野菜ライス
@50B(≒135円)

チキンライス
@50B(≒135円)

一枚モノのメニューをチラ見して、注文する料理を即決。 実の処は、タイ文字の下に小さく書かれたアルファベット文字のchicken riceとgreen riceが唯一の根拠。店の女性がブロークン英語を巧みに操り、私たちに「飲み物はいらないのか」と言った。 ならばと、レモン・ティーをオーダー。出てきたのは、リプトンの缶入りだった。

野菜ライスは白飯の上に野菜炒めがのり、チキンライスは白飯の上に鶏肉と野菜炒めがのったもの。 「まずは一口。」 と、皿を引き寄せる。ウマイ。なんでだろ。 粘りの少ないさらさらパラパラとしたご飯が、程良く火を通した野菜と見事に調和。 あっさりした薄味の後に、深い味わいが残る。 タイ人の料理センスに、ただただ脱帽。

バンコクを代表する景色が視界いっぱいに広がり、ゆったりと流れゆく時をかみしめる。贅沢。 このあたりは川の流れが停滞し、ゴミの浮遊が特に多い。 汚さは船上から見た時と同様だが、川の中央部はブラック・ココア色だったのに対して、 川端はチョコ・モスグリーン色。まるで本心を隠すように濁った水を湛えるチャオプラヤー川。 その向こうにそびえるワット・アルン。 目の前に広がる景色は、エネルギッシュな東南アジアそのもの。 数時間後には夕日が沈み、ワット・アルンを暁に染める。 ぼんやりと眺めていると、その混沌とした神秘に心ざわめく。
11/02/18 オンヌット駅のTESCO Lotus(フードコート)

蒸しまんじゅう?@10B(≒27円)



coffee@10B(≒27円)

タイのBTS(スカイトレイン)は、スクンビット線と、シーロム線の二本。 折角のBTS乗り放題券なので、端から端まで行ってみよう。 まずは、路線の長い方を。シーロム線・サイアム駅でスクンビット線に乗り換えて、東の終着駅・オンヌット駅へ。

オンヌット駅は、タイで1、2を争う大手スーパーチェーン・テスコロータスに直結している。 足は自然とフードコートへ。広い。店が多い。 しかも、エアコンが効いて清潔感いっぱい。 テーブルの下に野良犬が寝ていないのも、ポイントが高い。

その上、メニューに英語が併記され、得意の単語拾い読み(?)が出来るのも嬉しい。 料金は、屋台よりも2・3割高だが、それでも安い。

ここで、少々飲茶。
色々な料理がありすぎて、迷う。たまたま目についた蒸しまんじゅうをゲット。 ヨモギや海老を生地に混ぜ込んで蒸してあり、手でつまむと生地の表面がべちゃと手にひっついた。 横に添えられた辛めのタレをつけてたべる。酒の肴にいいな。
フードコートの利用法

クーポン

タイのフードコートは、先にクーポンを購入するのが主流。 B単位のチャージが出来、どの位食べられるのか。戸惑ってしまう。

後で追加チャージが出来るそうなので、取りあえず100B。 クーポン売り場は、窓口が売り口と払戻口とに分割されており、払い戻しも機械的にスムーズ。

一度経験すると、お店屋さんごっこみたいで、楽しい。
閑話
タイのビニール袋文化

横に寝かせると、こんな風。
口を持てば、空気は上にくる

タイはビニール袋文化の国。ジュース、お菓子、カレーなど何でもビニール袋にいれてしまう。 ちなみに、ドリンク系はゴムの所からストローをさして飲む。 使い捨てのプラスチック容器や紙箱や紙コップではなく、ただのビニール袋というのが、なんともユニーク。

驚いたことには、空気をパンパンに入れてふくらませるのがタイ流。 屋台などで、ビニール袋の口を輪ゴムでくるくると巻いて手際良く留める、 その手つきの見事さに見惚れてしまった。格好いい。

口をしっかりと輪ゴムでとめてあるので、逆さまにしても中の液がこぼれることはない。 ビニール袋がこれ程までに便利で使えるヤツだとは思ったこともなかった。

タイ流・ビニール袋の縛り方

①両手でビニール袋のあっちの口とこっちの口をそれぞれに持ち、3回位下に折りたたむ。
②今度は端から縦にギャザーを寄せる様に畳む。
③左手の中指に輪ゴムをかけ、右手の人差指で時計回りにぐるぐると巻く。
④左手の中指の輪ゴムを前で右手の輪ゴムの中にくぐらせ、袋の口にかける。
※はずす時は、最後に袋の口にかけた所から簡単にはずれる。

面白い。

ただ、ラーメンなどの熱いものでも、頓着なくビニール袋に入れてしまうのには、びっくり。 ビニールの成分が融けて食品にしみ込んだりはしないのか。 タイ人は、そんな瑣末なことには動じない。 だって、ここは微笑みの国・タイ、天使の都・バンコクですもの。
11/02/18 戦勝記念塔

戦勝記念塔

モーチット駅からBTSで戻る途中の車窓で、見つけた高い塔。 これが、戦勝記念塔。次の駅で、あたふたと降りた。

戦勝記念塔は、1940年のタイ・フランス領インドシナ紛争のおり、 フランス軍との戦闘で亡くなったタイ国軍兵士を慰霊するために、1941年に建てられた慰霊塔。 ロータリーの真ん中にすっくと建ち、このロータリーの外側ぐるりが全部バス停。 ここが、バンコク発着バスの拠点ターミナルである。

このあたりは、昼夜を問わず観光客や現地の人やらで賑やかだ。 ロータリーを囲むように建つ高架の上では、沢山の店が地べたにずらりと商品を並べて商売中。 その商品たるや、食べ物は勿論、衣類やらアクセサリーなど何でも揃う勢いだ。 バンコクへ着いた時にホテルまでのバスに同乗した大学生たちが、ここでTシャツ3枚を1000円に値切って手に入れたと。 商談成立までのバトルが、とても面白く楽しかったって。

店から少し離れた所で、上半身裸の10歳くらいの男の子が目の前に空き缶を置いて上半身を丸めている。 その背中は弓なりに曲がり大きく盛り上がっていた。 タイでは、人の集まる所にはたいてい物乞いの人たちがいる。 先日のチャイナタウンでも、片手五指のないお爺さんがその手を振り上げて、お金をせがんでいた。 こういう姿をみるのは、胸がつぶれる思いがして辛い。

こんな可愛いBTSの電車、発見!
11/02/18 マクドナルド

ここは、BTSアソーク駅とMRT(地下鉄)スクンビット駅が交差していて、どちらの路線も使える便利な所。 ホテルへ帰るためにMRTに乗り換えようとしていたら、 階段の横に日本で見慣れている「マクドナルド」があった。ここで一服。

店内は、なんと、客のほとんどが外国人。しかも金髪の西洋系って、なぜ?

←アイスコーヒー@33B(≒90円)
さっきのフードコートでの珈琲が10B(≒27円)。学食なら、カレー1皿頼んでも3Bのおつりがくるという金額だ。 タイの人達にとっては、決して安い額ではない。

客に外人が多いのは、旅の途中、食べ慣れたファーストフードが恋しくなったせい、やもしれぬ。
閑話
アユタヤで出会った兵庫の青年

MRTスクンビット駅の券売機前、表示画面を覗きこむ人あり。 アユタヤで会った日本人青年、ではないか。 声をかけると、彼は顔をほころばせて嬉しそう。 「こんなとこで、会うなんて」。 たった1度会っただけの人とは思えない懐かしさが湧きあがる。 彼は今日、休館の王宮を外しその周辺のワット・アルンなどを回ったとのこと。 私たちと同じコースだ。

たとえば、マクドナルドでコーヒーブレイクをしなかったら、 あの日アユタヤ駅が見つからず30分近くも迷ってあの汽車に乗らなかったなら、 そも彼と出会う事もなかったハズ。縁は異なもの、味なモノ。
11/02/18 ラマ9世駅のTESCO Lotus(フードコート)

(食品街)
ミニチュアみたいな小さな海苔巻き
タイでは小さいすしが人気なの?

セット食@45B(≒122円)
(フィッシュ&ライス&スープ
&サラダ)

麺@45B(≒122円)



焼き鳥・一本@10B(≒27円)



今夕帰国のため、朝ホテルのチェックアウト時に荷物をフロントに預けた。 集合時間には旅行社の空港送迎バスがホテルのロビーへ迎えにくる手筈なので、 遠くへ行って遅刻したら大変。夕食は、ホテル近くで済ませることにした。

ホテルの最寄駅・ラマ9世に着くと、隣接したスーパー内にフードコートを発見。 オンヌット駅で体験済みの「TESCO Lotus」だ。 オンヌットの店と同様に広く、料理のバリエーションも豊富。 ツレのセット食は、鰈に似た魚の唐揚げがメインディッシュで、ご飯とスープとサラダがついてきた。 さしずめ、定食。麺の方は、小麦粉の麺。 いづれも、味に外れがなく美味なのは、さすがTESCO!

今度も100Bのクーポンを購入し残高が少しだけ残ったので、家人が追加チャージして焼き鳥を買って来た 。買い喰いする小学生みたいで笑ってしまった。 ビニール袋に入った熱い焼き鳥を見ても、もう驚かない。 気分は、すっかりタイ人。処で、タイの鶏肉は実に美味い。
閑話
スワンナブーム国際空港の中国人男性

ホテルのロビーで旅行社のマイクロバスに拾われ、タイを出国する時がきた。 毎日 カルチャーショックの連続で、時の経つのを忘れていた私たち。 竜宮城で遊び呆けた浦島太郎みたい。

ガイドさんに促されて、搭乗手続きを待つ列に並ぶこと30分。 外国人用のカウンターは、いずれも長蛇の列でちっとも前に進まない。 と、ガイドさんが言った。 「係官の手際が悪くて、時間がかかっている。2グループに分かれ、隣の列にも並びましょう。 様子を見て、どちらか早い方に皆で移動すればいい」。 二股をかける計画。 指示通り、私と大学生グループのうちの2人が隣の列へ並ぶ。

周囲を見回していたら、前に並んでいた老齢の男性と目があった。 愛想よく話かけてくる。「Are You Chinese?」 「え、いえ、Japanese。」と私。 痩身をインドネシアのバティックのような半袖シャツに包み、その腕には金のロレックスが光る。 ヤクザな雰囲気。そのうち、連れの若い男性と話す言葉が漏れ聞こえてきた。中国語。 そっちこそ中国人じゃないの。私たちの列の方が早そうなので、家人を含むもう1つのグループがこちらへ移動。 散々待ちくたびれた処で、やっと順番がきた。 と思ったら、例の中国人が何やら血相をかえて係官にどなり散らしている。 「なんだ?」そっとカウンターを覗きこんでも、さっぱり見えない。 背の高い我グループの大学生が言うに、あの中国人男性の荷物が重量オーバーのため追加料金を要求され、 その額が高いと抗議しているのだと。 いつの間にどこから持って来たのか、プラスティックの衣装ケースが5・6個ほど彼の足もとに置かれていた。 これらの荷物を北京へ持ち込もうということは、彼はバイヤーか。 我チームの情報ソースによると、60キロオーバーだ。 これを無料で運ぼうなんて、それは無理。 しかも、後ろに大勢の人が順番を待って並んでいるというのに。最初は追加運賃そのものを否定し、 次第に追加運賃を値切りだした。「どこそこでは、○○ドルだった」と英語でまくしたてる 。係官は全く相手にしない。やがて、彼はカウンターに航空券を叩きつけ、 自分の荷物を蹴飛ばして顔を真っ赤にしながらどこかへ消えた。

無理を通して道理をひっこめようとする中国人のエネルギーに、唖然。
5日目
11/02/19 帰国の途

乗り継ぎの北京空港 AM6:30

AM1:05 バンコク発の機内食

このツアーで、一番心配だったのが、早朝の北京空港での乗り継ぎ。 仮眠が出来るかな。もし、寝たとしても起きられるかな。 などと思い迷ったのが嘘のように、機内が消灯になった途端に爆睡。 「案ずるより産むが易し。」。

早朝で人員が少ないせいか、はたまた格安チケットのせいか、 飛行機のタラップを降りバスまで歩き、ターミナルビルへと向かう。身に刺さる程に寒い。



chineseの正体はお粥

さっき、食べたばっかりなのに又また食事。 今度は、肉とChineseからの二択だという。 折角なので本場の中華にしてみた。 ところが運ばれてきたのは、明らかにお粥。 つまり、朝粥。確かにChineseには違いないが、ちょっと当てが外れた。

隣の席の大学生グループ。 中のひとりが爆睡中で機内食を食べはぐれた。 目覚めた彼に仲間が言う。 「おい、おまえが寝てる間にめちゃくちゃ旨い中華が出たぞ。」。
閑話
May I help you?

①地下鉄(MRT)・ラマ9世駅で
路線図の運賃を確認していたら、背中で声が降ってきた。 「May I help you?」。 前日に地下鉄初乗りを体験済みなので、自分では余裕。 が、傍からはオタオタしている様に見えたのか。 「観光地や駅で慣れ慣れしく近づいてくる人には要注意。 案内をする振りをして、知り合いの土産物屋へ連れ込まれ粗悪品を高く押し付けられる被害が出ている」 という「地球の歩き方」の文章が頭をよぎる。 加えて、突然の英語!「NO!」と答えるのがやっとの私。

②BTSタクシン駅で
やはり、切符を買おうとしていたら、若い2人連れの片割れがタイ語で何やら言った。 その素振りからして「May I help you?」のタイ語版と思われる。 タイ語となれば、私にとっては英語より難関。 思わず 「NO」と首を振った。親切だとは、思うのだが。

③中華街で
迷いながらも何とかチャイナタウンへ辿り着き、観光を終え、帰りの駅はどっちだ。 ちょうど信号を渡って過ぎて行ったご夫婦が踵を返して言った。「May I help you?Where?」。 中国人夫婦で、奥様は香港だそうな。 駅の行き方を身ぶり手ぶりで教えてくれたが、途中で奥様が「こっちの方が近いわよ」。 旦那と奥様が、それぞれに違う道を勧める。 夫婦喧嘩寸前の迫力。 そこへ通りがかったタイ人の男性が中国人旦那の説を支持し、路傍で店番をしていたタイ人は奥様を支持。 とんだ騒動になり、収拾がつかない。 タイ語と中国語のバトルを、唖然と眺める私と家人。 かくして、通りすがりのタイ人男性が、自分もそちらへ行くから連れて行ってやる。 ということで決着をみた。蛇足ながら、後で地図を確認したら中国人奥様のお勧めの方に「中華門」があった。残念。
まとめ
地下鉄車中で

タイの場合、汽車と地下鉄では利用している人々の、経済格差は歴然。

ある日の地下鉄でのこと。 目の前に立っている若いカップルのために、家人が少し膝を寄せて1人分の隙間をつくってあげた。 男性の方は、流暢とまでは言わないが日本語を話す。 以前、3年間ほど日本の日立研究所で働いていたのだそうな。 懐かしそうに日本語を紡ぐその様子が、微笑ましい。

タイ文字も読めない、地理不案内の私たちのタイ旅行。 楽しめたのは、ひとえに懐っこく世話好きなタイの人々のお陰。 どこへ行っても感じる私たちを見守る温かい視線は、素朴な「微笑みの国」そのもの。
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