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2011年 タイ旅行記 Vol.1

アユタヤでガジュマロの仏頭

11/02/15~11/02/19 札幌⇔バンコク 大人2名

日程   北京乗継便で行くバンコク4泊5日
経費   大人2名    レイトは1B(バーツ)=2.7円  
ツアー料金(サーチャージ込み) (49,800円+5,490円入国所税)×2=110,580円(≒40,956B)
航空券&ホテル代金&スカイトレイン1日乗り放題券つき
空港駐車料金 2,100円(≒778B)
海外旅行保険(2人で) 3,710円(1,374B)
食事代 (≒3,146円)1,165B
交通費 地下鉄代&汽車賃  (≒1,328円) 488B
雑費 (≒944円)347B
総計 45,108B (121,792円


旅程
1日目 新千歳空港
北京首都国際空港
スワンナプーム国際空港
2日目 ファランボーン駅
アユタヤ駅(往路)
ワット・マハータート
ワット・プラ・シー・サンペット
アユタヤ駅(復路)


泊まったところ ザ・セントリックラチャダー

昨年暮れ、旅行社のサイトを閲覧したら、 飛行機&ホテルと空港からホテルへの送迎のみのスケルトン・ツアー発見。
行き先はタイ! 最高気温32度、最低気温26度。雪に埋もれた氷点下に住まう私の心をグッと鷲づかみ!
微笑みの国・タイ。 天使の都・バンコクが、私を待っている~。

1日目   出発編   今日の歩数=8013歩
11/02/15 新千歳空港

タイ・バーツ
(肖像画は国民の信望厚いラマ9世)

中国国際航空CA170便 13:50発。中継地・北京空港 17:30着。 北京空港発 中国国際航空CA979便 19:40発。

HISのEチケットを手にカウンター前に並ぶと、回ってきた職員さんから搭乗チケットを渡された。 チケットの表記時間が、13:20。 実はこれ、BOADING時間で、搭乗開始時間の事。 「この時間に搭乗ゲートに戻って来なければ乗り遅れるよ。」ということ。

国内便のチケット表記の時間は出発時間だったと記憶しているが、 海外へのフライトは搭乗開始時間だっただろうか。記憶が怪しい。
フードコートWING

搭乗手続きを終え荷物も預けて身軽になったので、取りあえず出発前のCoffeeタイムを楽しむ。

出発ロビー内のフードコート店内は、ゆったりと広い。 テーブルの上には料理写真に番号をふったメニュー一覧が置かれていた。 これなら、言葉が通じない外国の人でも指差しで注文が出来る。 私と家人も、他の国では言葉が通じない外国人。 間もなく、私たちも指差しが最強の意思表示の方法となるハズ。Coffee@130円。 

早めに空港に着いたので、時間がたっぷり。 乗継空港の北京までは長い時間のフライトになる。 売店で水を購入し、出発に備える。

準備完了。
離陸

機内食

いよいよ離陸。北京までの所要時間は3時間40分。ながいw 

まもなく食事が来た。フィッシュとチキンからの選択なので、私はフィッシュ。 赤い皮の魚だ。なかなかいける。
11/02/15 北京首都国際空港
国際線乗り継ぎ

タイの気温を想定して薄着で機内へ乗り込んだが、北京はちょっと涼しい。

空港内の長い通路を国際線乗り継ぎ口めざして歩く。 しかし、気がつけば同じ飛行機で来た人たちがいない。 きょろきょろ見回して歩きまわる私と家人。 すると、離れた壁際で反対向きに並ぶ列の1人が、にこにこと手招きした。 ガタイの大きな東洋人に知り合いはいないし、友達でも見つけたのでその人へのアクションだろう。

目星をつけた列に並んではみたものの、ここが国際線乗り継ぎカウンターという確証がない。 どうにも不安で、左壁沿いのカウンターを偵察。 「国際線乗り継ぎ」という小さな日本語の文字を発見。 ほっとして、その列の尻尾に並ぶと、数人前の外人が日本語で私に言った。 「だから、さっき、こっちと言ったでしょ」。 見上げれば、私に手招きした外人だ。 あれは、私へだったのか。 聞けば、日本に3カ月程柔道留学をしていたことがあるモンゴル青年。 年に数回は日本へ来るそうな。
機内食

チキン

フィッシュ

YAN JING BEER

新千歳から北京、北京からバンコク。いづれも、中国国際航空だ。

機内食も、チキンとフィッシュからの選択。 だが、新千歳から北京への便のフィッシュは、赤い皮の魚を煮たもの。 一方、北京からバンコクへの便でのフィッシュは、日本で言えば「かまぼこ」。 「これ、フィッシュか?」。 家人の隣席の大学生グループが、大笑いする。 「かまぼこも、原料はフィッシュに違いないからな」という結論に落ち着いた。
閑話

「国際線乗り換えカウンター」の場所が解らず、大騒動を演じた私たち。 日本語とまでは言わないが、せめてアルファベットででも表示が出来ないものか。

一難は去ったが、まだ入国審査や税関を済まさねばならない。 同じ飛行機でここまで来た日本の某有名旅行会社の添乗員さんが、ボソリと言った。 「ここの空港は、これが無駄なんだよな。 乗り継ぎなのに、入国審査やら税関まで改めてやらされるなんて。」

以前インドへ観光に出かけた際の乗り継ぎ空港・仁川(韓国)では、全くノーチェック。 身体検査も持ち物検査もなし。当然と言えば当然だろう。 韓国の空港には着いたが、空港から一歩も韓国の土を踏む事無く別の国へと飛び立つのだ。 翻って中国。入国も出国もしていないのに、出入国手続きなんて、おかしくない。

第一、新千歳から北京のこの空港に着くまで会った人間は、同乗した乗客と飛行機の乗員と空港職員のみ。 危険物も国家機密も、入手する事は不可能だ。 しかし、中国では他の国際線に乗り継ぐ場合、出入国に関する法令により必ず出入国手続きが必要と決められている。

海外観光客に優しくない空港、と言われる所以である。
11/02/15 スワンナプーム国際空港

空港内

着いた!タイランド♪

定刻から5分遅れの23:50、ギリギリその日のタイ入国。 まずは入国手続きを。手荷物を受け取るうちに日付が変わり、旅は早2日目に突入した。

送迎口でHIS現地係員と合流し、ホテルへ送ってもらう。 一緒の送迎バスでホテルへ配送されるのは、大学生3人組。 私と家人は地下鉄・ラマ9世駅の近くのホテルで、彼らはそこから近い別のホテルだった。

先に我らを送り届け、そのあと彼らを送るという段取り説明を係員からざくっと聞き バスは一路バンコクへ。
2日目   アユタヤ編   今日の歩数=21991歩
11/02/16 ザ・セントリックラチャダー

ツインルーム

渋滞で有名なバンコクの街も、さすがに深夜はすいすいと快適。 30分程で、私たちのホテル「ザ゙・セントリックラチャダー」に到着した。

大学生組と運転手さんを乗せたバスをホテル入口に残し、宿泊手配をする現地係員と私たちはホテルの中へ。 私と家人が知っているのは、ここまで。 帰国時、合流した大学生たちによると、この後で不審者がドアを開けてバスの中に乗り込もうとしたが、 運転手さんが機転を利かせてドアロックをし、寸での処で事なきを得たのだそうな。 大学生いわく「怖かった」。 物とり目的か、酔っ払いか。 治安が悪くはないはずの地域なのだが。

ホテルは、地下鉄・ラマ9世駅から徒歩5分。 近くには、コンビニあり食堂あり市場あり。 土地の人の暮らしぶりが垣間見えて、面白き事この上なし。 このホテル、以前はワンルームマンションだ。 ホテルに改装してからは、連日 日本の大口ツアー客で大賑わい。 フロントも、日本語でほぼ意思疎通が可能。

部屋の広い事。ネットの口コミで「ドアを閉める音とか、廊下での話声が響いて眠れない」と言うので用意した耳栓は、 連夜の爆睡でパッケージを開く事もなく日本へ舞い戻った。
閑話
朝の托鉢

朝、すっきりと目覚め、カーテンを開けた。 部屋は7階。窓の下を見下ろしたその時、鮮やかなオレンジ色が視界に飛び込んできた。 道を行く僧侶の着衣だ。 裸足の僧侶が民家の前に立つと、家の中から飛び出してきた人々が、僧侶の鉢の中に食物を入れた。 そして、履き物を脱いでその場に跪き、僧侶に向って手を合わせる。 横にいる青いシャツの子が、寄進物を僧侶から受け取り肩掛けのバッグに手際良く納めた。

これが托鉢。

寄進を受けた僧侶は、ただ無言。 生前に功徳を沢山積めば積むほど、来世ではいい暮らしが出来ると言われ、皆 真剣そのもの。

托鉢は東南アジアであれば、ごく普通に行われていると。 私は初めての遭遇で、すっかり興奮。
閑話
地下鉄(MRT)


2004年開業のタイ初の地下鉄は、一路線のみ(駅の数18)。 現在、8から10分間隔で運行されている。

何故か、地下鉄の入口で荷物チェック。 無情にも、金属探知機のブザーがなった。 警備員氏が「ここ、ここ。」という仕草で、自分の腕を曲げてみせ、その肘に反対の掌を添えた。 どういう意味だ。次から次へと乗客がやってきて、警備員氏はそちらの対応に忙しい。 意味の通じない私に業を煮やし、行ってよし。 と手で合図。 にしても、あのアクションは、何だったのか。 他の乗客が通る様子を観察し、やっと理解した。 金属探知機にひっ掛ったら、バッグの口を大きく開いて中を見せればOK。 それだけで危険物を発見出来るとは到底思えないが、お約束ということか。

さて、本題の地下鉄。初乗り=15B。1駅ごとに1~2Bが加算され、最高39B。 私たちが行くファランボーン駅は、ここから8駅先なので31B(≒84円)。 車両は近代的だが、何か雰囲気が違う。 きょろきょろと見回して理由がわかった。 吊り皮のバーが、車両の真ん中にⅠ本つーっと通っている。 大抵の国の地下鉄は、両壁際の座席に沿って一本づつ設置されているのが普通。 これだと、座れない乗客は車両の真ん中に立つ事になり、乗降客の移動が甚だ混乱するだろう。 案の定、次の駅が近づくと降りる客が中からもぞもぞと動き出した。 ドア付近は芋洗い状態。どこの国から買った車両か知らないが、ラッシュには向かない。

→の写真が、シングル・ジャーニー・トークン(一回乗車券)オセロのコマにそっくり。
11/02/16 ファランボーン駅


アユタヤへは、鉄キチのツレの意向で鉄路で行く事にした。

タイの主要な鉄道は、北線・東北線・東線・南線の4種で、ファランボーン駅を起点とする。 地下鉄駅出口周辺を、さ迷う事30分。 街はタイ文字だらけで、アルファベット文字を探すのすら難しい。 タイ語が解らないので、地元の人に聞くのは更に無理。

とその時、道路の向こうのアーチ型屋根の建物が目に入った。 正面にラマ9世の大きな肖像画が掲げられている。 お寺か体育館と思い込んでいた建物だ。 まさかと思いつつ傍へ行くと、駐車場の片隅に小さな文字を見つけた。「station」。

この駅では「もうアユタヤ行きの汽車は出ちゃって、次は五時間後だよ」 と言ってタクシーに乗せようと企てる怪しげな輩が横行しているのだそうな。 まずは、インフォメーションで時刻表を貰うとしよう。

インフォメーションで「アユタヤ」と言うと、 時刻表の「アユタヤ」と現在地「ファランボーン」とにボールペンで○をつけ手渡された。 切符売り場でその○を指さして、難なく切符購入に成功。

アユタヤまでの所要時間≒2時間。ORD(普通車=エアコンなし@15バーツ≒41円)安い。 駅の売店で買ったミネラルウォーターが@12バーツ(≒33円)。汽車賃が安いのか、水が高いのか。
駅構内&車窓から

駅のホーム
オリエント急行の停車駅
ハリーポッターの9と3/4番線がありそうな

切符を握り締め、ホームへ足を踏み入れる。どことなく、アジアンな異国情緒が漂う。 この線路には、あの憧れのオリエンタル・エクスプレスも停まる。

世界一豪華でエキゾチックといわれる東南アジアのオリエンタル・エクスプレスは、 シンガポールからマレーシアを通り、バンコクまで走る超豪華国際列車。 月にⅠ・2回の運行で、バンコクのファランボーン駅を午前10時に発ち、翌日マレーシア入り。 翌々日の午前11時にシンガポールに到着する。2名1室、1人@164000円。夢のよう。

現実に戻って、私と家人はアユタヤ方面への汽車の中。 無事に座席も確保し窓からホームを見回せば、 弁当や飲み物などの屋台の店がびっしりと並び、首から箱をさげた弁当売りが走りまわる。 日本の昭和時代の光景に、そっくり。これが、又実によく売れる。
車中

弁当販売員
空いてる座席に座りこんでしまった

エアコンなしの三等列車とはいえ、窓からの風が心地よく思いのほか快適。 この列車、地元の人にとっては生活の足でもある。 出発時間が30分やⅠ時間は平気で遅れると聞いていたが、この朝は5分遅れ程度。

タイ人と一言で言っても、北部民族系・タイ族系・インドシナ系などなど多くの民族がいて、 肌の色から顔の造作まで千差万別。 列車のシートに身を委ね周囲の人たちの顔を見るとはなしに見ていると、 日本では決して味わえないエキゾチックな異国ムードが漂う。

車内は、物売り達がひっきりなしに行き来する。 弁当、飲料、玩具、絵本など。 隣のボックスの男の子が売り子のおじさんを呼び止め、ご飯の上に卵焼きや肉が乗った弁当を買った。 一方、男の子のむかえの女性もモゾモゾと何かを食べ出す。 長方形で平らに整形した餅米と焼き鳥が2本。 指先で一口大に丸めたご飯をじっくり噛んだ後、串肉の一片を入念に咀嚼した。 さしずめ「焼き鳥弁当」。なんて美味しそうな。

家人は、時刻表の過ぎた駅を1つづつ消し込んでいた。 車内では到着駅を知らせるアナウンスは一切なく、 駅名看板もタイ語のみ。 何処がアユタヤか知る術がないため、家人の窮余の一策。 横に立っていた若い女性が家人の時刻表を覗きこみ現在地の地名を指さす。 家人は、すかさず「アユタヤ」と一言。 再度のぞきこんだ彼女は、時刻表の中のアユタヤを指した。 お陰で無事に下車できた。 アユタヤ観光客の多くはツアーで、汽車を使うのは極めて稀有。 案内も表示も恐ろしく不親切だ。 親切な彼女との出会いがなければ、私と家人は降りそびれていたかも。思うだに、恐ろしい。

アユタヤ駅で列車の窓から手を振り続けてくれた彼女は、フィリピン系の笑顔が素敵なお嬢さん。感謝。
11/02/16 アユタヤ駅(往路)

アユタヤ駅(ホーム側)

駅入口・横で、大きなラマ9世の肖像画が旅人を出迎える。 かつて、王様の鶴の一声で戦争だってやめたそうな。 現王朝9代目・ラマ9世への国民の信望と敬愛の念の深さを裏付ける話。

アユタヤは、現王朝・チャクリー王朝にとっても浅からぬ因縁をもつ。 王朝創始者・ラマ1世は、アユタヤ王家の血をひくのだ。

駅内や駅周辺では、タクシーやらトゥクトゥクを勧誘する人達が、執拗に観光客に声をかけ、 振り払うのにうんざり。 地図を眺めていた家人が、言った。「この位の距離なら楽々歩けるべ」
野良犬

死んでいるのではありません。
ただ爆睡中

アユタヤ市内は野良犬が多い。

日中は暑さでぐったりしているが、涼しくなる17:00~10:00頃 ふくらはぎに噛み付くことがあるそうな。 2006年のフィリピンでは、犬に噛まれた日本人が2人狂犬病を発症、1人が亡くなった。 タイでも狂犬病は発生していると。

道端に、野良犬がウロウロしていた。 最初は警戒して犬をよけて歩いたが、餌をくれない私たちの傍には寄っても来ない。 しかし、中には自分の弁当から犬に分け与える人もいて、平和な共存状態に見える。

日中は道の真ん中だろうがお構いなしで、あられもない格好を露呈し惰眠をむさぼる「お犬様」。 ただ、夜は活動するので要注意とのこと。


アユタヤは、バンコクから北へ80km、チャオプラヤー川とその支流とに抱き込まれいる様な町である。
かつて この地でアユタヤ王朝が隆盛を極めたが、たび重なるビルマとの戦いで、 建造物はことごとく破壊され尽くされた。


対岸に着いた。歩道には溢れる商品が並び、車道沿いには露天が展開している。 間の細い隙間が、歩道。人とすれ違うのも一苦労だ。
まもなく商店が疎らになった。それから、20~30分も歩くと、寺院らしい塔のとんがりが見えてきた。
閑話
兵庫の青年

仏塔を目指して歩いたら、交差点に出た。

と、交差点の歩道で片膝をつき、のんびり地図を広げている若者が1人。 気配を感じ、私たちに気付いた彼と目があった。 彼の手元の地図は、日本語。 兵庫から成田空港経由で、今朝バンコクに着き、その足でアユタヤへ来たのだと。 「タイに来たのは、暇つぶしですよ」と白い歯を見せて、お茶目に笑ってみせた。 言葉づかいが、終始敬語。 折り目正しい好青年だ。 バンコクから私たちと同じ汽車だったとは。 「いやぁ、2時間もかかって疲れた。帰りはバスにしようかとも思ってます。」

「じゃ、ご一緒に」。 背後に佇む寺院へと、3人でむかうそこは「ワット・ラーチャプラナ」。 門の正面から塔が見えた。 8代王が王位継承で倒れた2人の兄を火葬した場所に建てたもの。 入口から中を覗き見て、3人が顔を見合わせる。スルーだな。
11/02/16 ワット・マハータート

「仏像の頭部より上に立たないで下さい」
との看板

ビルマ軍に破壊された頭部のない仏像群

かくして3人で道を挟んだ向え側の「ワット・マハータート」へ。 ここは、私的には外せない所。 入口までくると、兵庫の彼が言った。 「50バーツか。僕、ちょっと周囲をまわってきます。では」と言い残し、ひらりと立ち去った。 ここへの道々、「バンコクの王宮へは行くのですか。」と私たちに尋ね「行ってみたい」と答えると 「王宮も入館料が高いんですよね」と呟いた彼。 多分学生だろうから、入館料も重なるとバカにならない。 実際、タイで50バーツあれば、街の食堂でゆうに1食食べられる。 しかし、次に訪問する機会があるかどうか解らないから、 50バーツ(≒135円)を惜しむのも後悔しそうな気が。

さて、ここでの見所は木の根に嵌り込んでいる仏像の顔。 昔、 ビルマ軍の侵攻により仏像や遺跡が倒壊された時、 胴体から切り離された頭部がガジュマロの木の根元へ転がり、 それが木に取り込まれる様に同化した。 激しかった戦闘のその日から、時がとまった様な佇まいを今に残す反面、 それからの長い月日をも如実に物語る。 自然の力というモノを、改めて見せつけられたような気がする。 破壊されつくした瓦礫の山にも、ひっそりと花は咲く。 自然は人間どもの思惑とは関わりなく、自らの生命力のままにそこにあった。 思いいっぱい、胸いっぱい。 これさえ見れば、アユタヤで見るべきものはあらかた済んだようなもの。

ひょいと視線を移せば、そこに野良犬と戯れる人影が。 なんと、あの兵庫の青年ではないか。 「タイの野良犬に噛まれると、狂犬病になるから危険だ」と教えてくれた紛れも無きその人が 素性の知れない犬を撫でている。 遺跡はどこも低い塀で囲まれ、そこからこちょりと入ったのかも。無料で? びっくりと懐かしさで一瞬固まってしまった私。 若い彼にとっては軽いゲーム感覚なのだろうが、 一昔前なら笑って済んじゃう話も、今の時代は何がどうなるか解らない。 「大丈夫かぁ。捕まったりしなきあいいけど。」

振り返った彼は「先回りして、待ってましたよ」と言わんばかりに、 爽やかな笑顔を私と家人に向けた。
11/02/16 ワット・プラ・シー・サンペット

無造作に転がっている仏像頭部
その表情は悲しそう

次は、ワット・プラ・シー・サンペット。 マハータートからも近い。かつて、黄金に覆われた仏像があったようだが、 ビルマ軍に物の見事に破壊され尽くして跡形もない。 今も残っているのは、3人の王の遺骨が納められているセイロン様式の3基の塔のみ。 言えば「破壊の遺跡」。

チケット販売所で入場料@50バーツ×2名(私&ツレ分)=100バーツを払い、早速中へ。 と、入口の男性監視員に入場を止められてしまった。 彼の様子から推して「金払った?」と言ったような。 「あそこで、支払ってきたよ」と販売所を指差し、身振り手振りで必死で奮闘する私。 すると、横にいた女性監視員が意味ありげな微笑を浮かべて男性監視員の袖を引いた。 「やめなさいよ」みたいな。 うぅ、もしかすると、私からかわれたのかな。 先程のマハータートもそうだったが、入場券を発券していないので、支払いの証拠となるものは何もないのだ。 家人が、ぼそっと呟いた。 「あの人たち、公務員か民間人なのか知らないけれど、1日に何人が入場したかなんて把握してないだろう。 徴収した代金をポケットしても解らないな、これじゃ」
閑話
タイのウォシュレット

サンペットを出ると、そこは大きな広場。 サンペットを背にして、右手にボピットというタイでは珍しい洋風な寺院があり、 その脇からはもう大規模なバザールが展開されていた。まるで別世界。

浮き浮きと店をひやかしながら奥まで突き抜けると、タイでは珍しい無料トイレがあった。 いや、入口に箱が据えられているところを見れば、本来は有料なのかもしれない。 が、皆さん、躊躇う風もなくするっと入っていくので、私も倣った。 広場でトイレの場所を教えてくれた人が申し訳なさそうに「トイレ、あそこある。奇麗ない。」 と日本語で言っていたが、奇麗ないの意味は汚れているという事ではなく床が水でびちゃびちゃと言うことだった。 タイでは、ホテル・学校・フードコートなどほとんどの施設のトイレに、タイ風ウォシュレット(?)が備わっている。 便器横のホース付きのシャワー状のものが、それ。 最初はおっかなびっくりで使い始めたが、慣れるととても便利で癖になりそう。 ただし、日本とは違って出るのは温水ではなくて水。 気温の高いタイだからこそ、ではある。 にしても、床を濡していくのは慣れない海外からの観光客だろうか。
閑話
買い喰い

野菜まん

大通り沿いの商店前で売られていた、日本で言えば、野菜まん。
@12バーツ(≒32円)。

見た目は餡そのものなのだけれど、中身はどうやら野菜らしい。
ほわんと何かのハーブの香りがするような。 しかし、コリアンダー(香菜)の様な強い癖はないので、ほとんど気にならない。

ご馳走様。

タイ製焼き鳥弁当?

船着場近くの市場で、焼き鳥と餅米ごはん発見。 朝の汽車の中、通路を挟んだボックスのご婦人が美味しそうに食べていたアレだ。 ご飯は長方形に平べったくならしてビニール袋に入れられている。 嵩ばらないし安価。便利な携帯食糧だ。ご飯+焼き鳥2本=18バーツ(49円弱)。

夫婦で経営しているのだろうか。 いざ、支払いとなり、私たちに言葉が通じないと解った奥様の方が、 小さく頷いて売り上げを入れている箱から10バーツ硬貨1枚と5バーツ硬貨1枚 それに1バーツ硬貨を4枚を掌に広げてみせた。グッド・アイディア。

味の方は、焼き鳥は甘じょっぱいタレが日本の焼き鳥にそっくり。 餅米も、違和感なく美味い。
11/02/16 アユタヤ駅(復路)

線路の両側で待つ乗客たち
列車が着くと両側のドアが開く

遺跡からだと駅よりもバスターミナルの方がはるかに近いのだけれど・・・ 帰りも、やっぱり鉄路。まずは、窓口で切符を買う。 今度は快速なので@20バーツ。 切符売り場の駅員さんが切符を渡しながら、上から目線で何ごとかを言った。 聞きとれたのは「リレイン」という言葉のみ。 しかも、切符には赤マジックで大きく17:00と殴り書きされた。

「リレインは乗り換えという意味だな」と家人が言う。 どこで?「次の駅?」言ってる家人自身が不安そう。 ? マークを顔に張り付けた2人が駅構内の時刻表を見ていると、 地元のおばちゃんが寄ってきて私たちの切符を覗きこんで一言「リレイン」。 それは、さっき言われたさ。 問題は「リレイン」の意味が、解らない。 それから、彼女はタイ語でぺらぺらしゃべりまくり、挙句に「タクシー」。 なんだ、タクシーの勧誘かい。 私達こうして切符も買ってるのに、今さらタクシーはない。

訳が解らないままに、汽車の到着を待つ。 汽車が来るべき時間は、とうに過ぎているのに来ない。 そうこうするうちに、後ろから日本語が聞こえてきた。 大学生の5・6人組。早速にじり寄って尋ねたら、汽車は1時間程遅れているのだと。 14:05発が、15:05発になるというのだ。 例の17:00の赤マジックの意味はこれだった。トホホ。

線路脇の店と上半身裸で日向ぼっこのおじさまたち

帰りの汽車は、停車駅も少なめで乗客もまばら。 快適だ。兵庫の青年は、帰りはバスにしようかと言っていたけれど、どうしたかな。 バンコク市内は、交通渋滞が凄いようだからな。バスも大変かも。

列車がバンコクへ近づく程に、線路内に入り込んでいる人が増えてきた。 線路脇の店番をしているような人、ただぼんやりと枕木に腰掛ける人、 凄いのは線路の二本のレールの間に将棋盤の様なものを持ち込んでゲームを楽しんでいる人達もいる。 やがて、夜の帳が下りる頃には、レールとレールの間で宴会を繰り広げる人たちまで現れた。 彼らは、列車がやってくる度にさっと脇へ身をかわし、列車は体から数10cmの所を通りすぎていく。 何度も警笛を鳴らし続ける運転手。 何が楽しくて、線路に集うのだ、解らん。
閑話
ビールにはストロー

いかに沢山注ぐかが腕の見せ所
シェイクと格闘中?

チキンライス弁当@29バーツ

ビール(シンハー)@36バーツ

無事、バンコクに到着。とは言え、とても疲れた。 今は、ゆっくりホテルで寛ぎたい気分。 夕食の店を開拓する気力は、すでに失せていたので、駅前のセブンイレブンで夕食を調達することに。 そこに、タイ風ウルトラマンがプリントされたTシャツを着た少年がいた。 ソフトクリームの自販と格闘する地元の男の子。 少しでも高く盛り上げようと、そっと左手で調整している集中力は、巧みの技だ。 思わず見とれていたら、気づいてにこりと照れた笑いを返してきた。かわいい。

お弁当は、ご飯におかずが一品という至ってシンプルなものだが、@29バーツ(≒79円)と破格に安い。 が、ビールは高い。 ちなみに、タイのビールは獅子や象などの動物のシンボルマークがついていて、シンハーは獅子。 人気のラガービールで、美味い。 ところで、この国では何故にビールを買うとストローがついてくるのだろう。
3日目   モクタラ(木曜タラート)&ヤワラート(中華街)編   今日の歩数=27802歩
閑話
神様のお食事

昨日は郊外へ足を伸ばしたので、今日はゆっくりバンコク市内街歩きの予定。

朝のヴァイキング(ビュッフェ)は昨日と同じメニューで、少々テンション下降気味。


ホテル入口には今朝もツアーバスが横付けされていて、体を斜めにしてやっと道路へ出る。 と、いつもはバスの陰で見えなかったホテルの壁沿いに、供物台が設置されていた。 日本で言えば、おそらく「神棚へのお供物」ということだろうか。思わず、傍へ行って覗きみる。

「この供物、今 ホテルのレストランで食べてきた朝食ヴァイキングと同じ料理だよ」。 神様も私らと「同じ釜の飯」を喰っていたのか。
Vol.2
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