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2013年 東北旅行記

青森編

恐山の硫黄泉・風呂、秋田・小坂町の人情芝居、青森・田舎館の田んぼアートに酔いしれる♪
会津藩に殉じた「新島襄の妻の先夫・川崎尚之助」に合掌



13/07/16~13/07/22    昨夏、車中泊デビューした私達。よし、今年は津軽海峡を渡ろう♪

旅程
1日目 函館フェリーターミナル 函館市
2日目 恐山 青森県むつ市
3日目 仏ケ浦 青森県下北郡佐井村
4日目 奥入瀬渓谷 青森県十和田市十和田湖畔
十和田湖 青森県と秋田県の県境
こさか七滝 秋田県鹿角郡小坂町
明治の芝居小屋・康楽館 秋田県鹿角郡小坂町
5日目 田んぼアート 青森県南津軽郡田舎館村
ねぶたの家    ワ・ラッセ 青森県青森市
青森市民ねぶた 青森県青森市
津軽三味線の実演 青森県青森市


泊まったところ 函館フェリーターミナル 北海道函館市
道の駅・かわうち湖 青森県むつ市
道の駅・しちのへ 青森県上北郡七戸町
道の駅・田舎館 青森県南津軽郡田舎館村
道の駅・浅虫温泉 青森県青森市大字浅虫
青森フェリーターミナル 青森県青森市
風呂 恐山 入山料@500円に込み
東八甲田温泉 @300円
道の駅・ゆ~さ浅虫 @350円
食べたところ レストラン・まさかり みそ貝焼き定食
りんご箱 まかない丼、せんべい汁


食べたもの
べこ餅  @150円
北海道のべこ(牛)餅は、
米粉と澱粉で作った茶と白のまだら模様。
東北のそれは、こんなに手の込んだもの

大湊海軍コロッケ@210円
ホタテまるごと&イカ
「高価なものですから」と店員さん


覚書 走行距離 1150km
ガソリン 66.43 リットル 9,613円

1日目   晴れ
13/07/16 函館フェリーターミナル

津軽海峡フェリー・新造船の大函丸

行きは函館→大間(所要時間1時間30分)乗用車(運転手こみ)+同伴者1名=16380円。 帰りは青森→函館(所要時間3時間40分)乗用車(運転手こみ)+同伴者1名=20,430円。


大間航路は採算性の問題で撤退航路への検討がなされたが、大間の人々にとっては青森市へ行くよりも船で函館の病院へ来る方が近く、フェリーは生活の足そのもの。現在は青森市と大間町の支援により、暫定運行。

明朝の出港に備え、宿泊場所はフェリーターミナルと決めた。

ターミナル内の駐車場は2つ。いづれも、2時間無料でその後は1時間ごとに100円プラス。1日だと500円。第一駐車場はビルのまん前にあり、トイレも近い。しかし、「長時間利用の方は第二駐車場をご利用ください。」との表示がある。どっちに停めるべきか。夜中にトイレで目が覚めた時を思えば、トイレに近い第一駐車場が理想。見渡せば、停まっている車はほんの数台。おきて破りを承知で、第一に停めた。

ビル内をふらふらと偵察し、就寝。夜中に出港便の乗船案内アナウンスを夢の中で聞き、それでも爆睡し、朝すっきりとした目覚めを迎えた。駐車時間は6時間。最初の2時間無料をひくと料金は400円なり。快適♪
2日目
13/07/17 恐山

「人はみな、それぞれ悲しき過去を持ちて
賽の河原に小石積み」

恐山は、荒涼とした景色の中 思い詰め込んだ石を積みイタコが亡者の声をおろすオドロオドロしい所だと思っていた。実際は、想像とは全く別物。まずは荒涼というよりは、あちこちで煙が上がる火山灰地。私の想像より、ぐっとコンパクトな感じ。入山料@500円。

恐山での捧げモノは、風車と草履。そこここに捧げられた風車が、悲しく回る。

つと目に留まったのが敷地内で見た「湯」という小さな木造の建物3棟。実は2棟が男湯で、1棟が女湯。「一般人の私も入れるの?」。入浴料無料。内部には木の湯船が2つあり、洗い場はないが板張りの床が心地よい。湯は硫黄泉。体の芯まで温まり、日頃は“カラスの行水”の私もつい長湯になってしまった。幸せ気分満載。ほとんどの観光客が素通りしていくのを、どっぷり湯に浸かって眺める。「いい湯なのに入浴しないで帰るなんて、勿体無い。
13/07/17 道の駅・かわうち湖

青森県むつ市の「道の駅・かわうち湖」が、今夜の宿泊地。とはいえ、山の中のダム湖。停まっている車もなく躊躇っていたら、1台がやってきてほっと一安心。自然がいっぱい。設備も申し分なく避暑なら最高の立地だが、如何せん閑散として寂しい。

さて、日暮れが近づき、ディナー開始。外の空気を吸いながらの食事は、格別の醍醐味がある。とその時 私の背中に声が降ってきた。「冷たい飲み物はいかがですか。」。こんな山奥まで売りにくるのか?と振り返れば、誰もいない。凍った顔の家人と私の視線の先、俳優・役所広司のコーヒー広告写真が、パラパラ漫画の様にハタメク飲料自販機があるだけ。よく見れば、動くのは風でひらめいているせい。もしかして、声の主はおぬしか?不思議なことに、自販機がしゃべったのはこの一度っきり。風で誤作動したのだろうか。

背筋に冷気が走った。
3日目
13/07/18 仏ケ浦

下北半島の秘境・仏ケ浦。 風雨や荒波に浸食されてそそり立つ奇岩が約2kmも続く海岸線は、空の青とも相まって研ぎ澄まされた様に美しい。 過酷な自然を超えた凄みが、ここにある。

佐井港、牛滝港、脇野沢港からは遊覧船が運航されているが、私たちは陸路の散歩道を。駐車場から続く木道階段を森林浴がてら下り、行きは15分程度で着いた。空気が美味しい。が、帰りは登りになるので徒歩30分ほど。日ごろの運動不足がたたり、結構キツイ。

奇岩の間に立てられた碑には、かつてここを訪れた大町桂月の言葉があった。
神のわざ 鬼の手作り
佛宇陀 人の世にならぬ処なりけり (大町桂月)
まさに、人間の手ではつくり得ない奇跡の景観。

散歩道の終わり近くに、小さな地蔵堂があり、掃除に来た女性が中をあけてくれた。左右の壁には、昔風の衣服や今脱いだばかりの様に靴下を丸めて押し込めた靴などが、所狭しと展示されている。中には、古い扇風機まで。「故人の遺品だろうか。」掃除中の女性に尋ねてみた。「ここは、恐山の奥の院。元は海難事故で亡くなった人の遺品を納めていたけれど、段々と品物が増えてきて。」。海難事故以外の故人の遺品も、そっと置いていくらしい。そういえば、恐山のお堂の中にも同じように遺品がずらりと並んでいた。ここに今世での名前を記した遺品を置くと、来た人々が手を合わせてくれる。亡くなった人が、忘れ去られずに済む。切ない遺族の思いが伝わってきて、胸が痛い。
13/07/18 レストラン・まさかり

青森県むつ市・まさかりプラザ内

みそ貝焼き定食@1260円。青森の名産。写真左上のホタテ貝殻がメイン料理で、これを火にかけて煮えたら卵でとじるのが正しい食べ方。貝は勿論ホタテ。具材にはイカの塩辛が入っている。当時この地の主婦たちが買い物に行くのは億劫という時に、あるものを貝殻に乗せて一品にしたのだと。いわば主婦の究極の手抜き料理かな。

「うまい」と食べ進むうちに、段々煮詰まり塩辛くなってきた。蝋の中に芯がある使い捨ての携帯燃料なので、程よいところで火を止める装置(蓋)の用意があれば有難い。

総括・家に帰ったらホタテの貝殻で作ってみよう。
東八甲田温泉

今日こそは入浴したい。家人の意向で入浴施設を探すも、ナビでは8キロ先。「道の駅」本によれば最寄施設は2キロとなっているのに。道の駅に隣接したイオンへ出向き、通りかかった人に尋ねることにした。 すると、近所のご婦人曰く「すぐそこにありますよ、温泉。」嬉しすぎて、悶絶。

その名、東八甲田温泉。完璧に温泉だ。浴槽の数も多く、番台の方に寄れば、一番熱いお湯は入れる人がいないのだと。 が、家人はそこで長い時間たゆとうていた。「え、あの熱湯に入れたのですか。結構ながい時間でしたよね。」と呆れ顔の番台さん。家人曰く「あの湯は最高だ。毎日でも入りたい。」。
道の駅・しちのへ

立地抜群!隣がスーパー・イオンで、 その隣が新幹線・JR七戸十和田駅。イオン近くには温泉まで揃っている。こんな便利な所はない。なのに、なぜか道の駅には車が少ない、いわゆる穴場。

他の車との交流がなかったのは寂しいが、立地的には車中泊イチオシの道の駅だ。
4日目
13/07/19 奥入瀬渓谷

銚子大滝

奥入瀬渓流は、青森県十和田市十和田湖畔・子ノ口から焼山までの約14kmの奥入瀬川の渓流。子ノ口に車を停め、十和田湖まで渓流沿いにのぼって行く という予定とは裏腹に、激しい雨が降り続く。実は私、最初に訪れたのが修学旅行で、次回は社会人となって友人と。しかし、2度とも雨。そして、3度目の今回も雨。相性が悪いのか?

渓流沿いには「瀑布街道」と呼ばれる滝の数々。なかでも心捉われたのが「銚子の大滝」。十和田湖への魚の溯上を阻止してきた魚止めの滝なのだとか。近づくと、その滝の轟音に圧倒される。写真では、音の臨場感が伝わらないのが歯がゆい。こんな雨の中、渓流の水は透明に澄んでいた。
13/07/19 十和田湖

青森と秋田の県境。

雨が少しだけあがったので、散策としゃれ込む。しかし、湖畔にあるはずの高村光太郎の「乙女の像」が、歩けども見当たらない。記憶では湖の入り口付近にあったはずだが、私の記憶もあてにならない。その時、湖上から近づいて来た遊覧船のマイクの声があたりに鳴り響いた。「あちらに見えるのが、高村光太郎の乙女の像でございます。」。どちら?木道の散歩道が終わる所、あれか。

高村光太郎は戦中に多くの戦意高揚の詩を綴り、戦後その責任に苦しんだと聞く。光太郎いわく「原生林の圧力に耐えて立つなら幾千年もたってろ」。これは、誰に向けた言葉だろうか。もしかすると、自分自身なのか。
13/07/19 こさか七滝

秋田県鹿角郡小坂町。大館市と十和田八幡平国立公園を結ぶ樹海ラインに位置する。

「日本の滝百選」のひとつに選ばれた、落差60m、7段に渡って流れ落ちる七滝は、つとに有名。江戸時代の紀行作家・菅江眞澄が旅の途中で、この七滝に2首の短歌を残した。景勝スポット。

七段の岩肌を勢いよく転げ落ちる水の様子を見ながら、ごうっという轟音を耳にすると、その豪壮さの前で、何ものにも代え難い神聖な思いを抱かずにはいられない。
13/07/19 明治の芝居小屋・康楽館

劇団夢の旅座長・瞳ひろし

七滝から車を走らせ、同じ町内で異様な光景に目を奪われた。道の両脇にずらっと並ぶ旗の数々。いわば「花道」という風情。「これはなんだ。」と見れば、なんとこんな小さな町にある和洋折衷の日本最古の現役・木造芝居小屋。今も歌舞伎や有名芸能人の興業に使われている常打芝居小屋だ。明治43年 秋田県小坂鉱山の経営者が、従業員の慰安のために建てたもの。

「今なら間に合いますよ。」モギリのお兄さんの声に「旅行中で時間がないので。」と乗り気ではなかった家人が、 入り口に掲げられた函館近郊中学校名の書かれた歓迎ポップを見て「ちょっと見ていくか。」。 @2000円。

今日の出し物は「人生劇場」。最初こそ見慣れない時代ものの舞台に違和感を感じたものの、いつしか引き込まれていった。子供の頃に町内の祭りで観た人情芝居を、ふと思い出す。2部の歌謡ショーは座長が金ぴかの着物で登場。どこかで観たような。そう、マツケン(松平健)そっくり。座長は大衆演劇・松井誠の弟子。

芝居がはねた後、館内見学があった。建物の外観正面は下見板張りの白塗り、上げ下げ式窓と鋸歯状の軒飾りが規則的に並ぶ。 天井にはチューリップ電灯。舞台裏をみれば、人力で動かす回り舞台やセリ。今も現役だ。これほどまでのモノを作り得た当時の鉱山の栄華、そのスケールの大きさに、舌を巻く。舞台裏の化粧室の板壁に、市川団十郎、坂東玉三郎、小沢昭一など、今では値がつけられない程のお宝サインが、何気に並ぶ。 凄いものを見せてもらった。
13/07/19 道の駅・田舎館

岩木山(道の駅併設の展望台より)

南津軽群田舎館(いなかだて)。

昨日までの道の駅は、車中泊の車が極端に少なく寂しいかぎり。治安面でも不安だった。ここは青森市から車で1時間。車中泊の車がぞろっと停まっている。しめしめ。

隣の車は福島ナンバーのご夫婦。 1ヶ月程前に家を出て、北海道を回ってきたそうな。福島訛りが亡き親戚にそっくりで、懐かしい。その隣は、姫路ナンバーの60代男性。この2組がとても仲良しで、私たちは何くれとなく面倒をみてもらった。

「世の中には色んな仕事があるもんだな。」と福島さんが呟いた。なんでも、姫路さんはここを根城に農家にラーメンの訪問販売をして歩いている。注文が来たら会社に連絡をして、直接顧客に送ってもらう。つまり、在庫を持ち歩かない商売。(以降、ラーメンさんと表記)。 ふたりの話が弾んだ昨日は、ラーメンさんが「今日は仕事に行くのや~めた。」と自主休業を決め込んだ。一方、福島さんがこの地を離れがたいのは、ここが競馬場のまん前で馬券を買うのに便利だから。(以降、お馬さんと表記)。数台となりの車の男性は、ここが気に入り居ついてしまい、朝になると隣の畑へ野菜の収穫を手伝いに行く。色んな人との出会いがあって、やっと車中泊らしくなってきた。
5日目
田んぼアート
第一会場 第二会場

花魁

ハリウッドスター(マリリン・モンロー)

ウルトラマン

お馬さんとラーメンさんの強い勧めで、近くで開催されている「田んぼアート」を見にやってきた。第1と第2会場の展望台共通券@300円。

田んぼアートは、1993年、青森県南津軽郡田舎館村が村おこしの一環として、田舎館役場裏の田んぼで日本で初めて作ったもの。現代米と古代米の色の異なる稲を使い巨大絵を描く。年々技術が進歩し、測量技術を駆使して作成されているのだと。第1会場は、道路を挟み右にモンロー左に花魁。スケールの大きさと立体感と緻密さに、思わず息を飲む。毎週来ている埼玉の男性によると、今が一番の見ごろ。これから稲が育っていくほどに、全体に茶色っぽく変化していくそうだ。

「見事だ。パンツは見えなかったけど。」と言っていたお馬さん。モンローのパンツの話だ。
13/07/20 道の駅・浅虫温泉

道の駅・浅虫温泉」は、2000年 国道4号線沿いにオープン。鉄筋5階建てで、地産の特産品販売、レストラン、総合案内所などを併設する。

中でも人気なのが、最上階にある日帰り温泉「道の駅ゆ~さ浅虫」。湯は無色透明。入湯料@350円。ガラス張りの展望浴場からは、眼下に広がる陸奥湾が一望でき、夕日の美しさは表現する言葉が見つからないほど。ただ、アルコール類は一切禁止。売店での販売もないので、大人の男性もアイスをなめていた。

ここで出会った車中泊仲間。ひとりは大宮からきた60代後半の男性。犬との1人1匹の旅。ワゴンタイプの軽ながら、大仕掛けなソーラーを装備し大型テレビや冷蔵庫まで完備。その発電量は、使用しても余る程とのこと。(以後ソーラーさんと表記)。 一方、ボックスタイプの軽、40代位の1人旅の男性は東京の足立区から。下方に作った棚の下には、仕事で使うのかビスの箱が沢山押し込まれていた。棚の上が生活スペースで、調理もここでする。食料やら生活用品が、狭いスペースにきちんと整頓されている。独身で、年に7日程帰宅するのだと。長い髪を後ろで結んでいる。(以後、結びさん)。 かくして、お互いの車の改良具合を覗きあい、車中泊情報を交換しているうちに、夜は更けていった。

翌朝、ソーラーさんと結びさんは、連れ合って一番風呂へと出かけていった。
13/07/20 ねぶたの家 ワ・ラッセ

2011年、青森ねぶたの保存と伝承を目的に、青森駅東側に開業した市の施設。入場料@600円。

結びさんの勧めで、やってきた。広いスペースに大型ねぶた5機と中型ねぶたが数機ほどが並び、あまりの迫力に圧倒される。祭りには毎年300万人超の観光客が押し寄せるため、遠くから眺めるのが精一杯。こんなに間近でじっくりと見られるのも、ここならでは。

祭りの主役・ねぶたは、昔は町内の絵心のある者たちが作っていたが、 近年は「ねぶた師」と言う専門家が運行団体の依頼を受けて製作している。現在、ねぶた師は14名。それぞれに作風が違うそうだ。

青森が生んだ彫刻家・棟方志功。その絵の原点が「ねぶた」と言われている。
13/07/20 青森市民ねぶた

「駅の所で、今 ねぶたの絵入れが見られるよ。」と結びさん。作っている処など、めったに見られるものではない。大喜びで馳せ参じた。

青森市民ねぶたは、市民有志がそれぞれに作る小型ねぶた。市民レベルで、祭りを盛り上げる。

すでに完成したねぶたも多い中、青森山田高校の絵入れを見た。「玄人はだし」と言っても過言ではない精巧さに、思わず「凄い。」と唸った。 隣に立っていた中年男性が、それを耳にし、嬉しそうにニコリ。顧問教師かな?
13/07/20 津軽三味線の実演

青森駅前に建つ地上76mの正三角形のアスパムは、青森の観光と物産の拠点施設。1階が土産物コーナー、2階が民工芸品実演、展望台と360度パノラマ映画も人気。

ここで、1日2回ほど津軽三味線の実演があると言う。無料。今日の演奏会派は、まんじ会。開始直前に用意されていた椅子が埋まり、後ろは立ち見の人々で溢れた。

演奏の腕は勿論のこと、津軽弁での朴訥なトークが楽しい。「津軽三味線の皮は、何の皮を使っているか解りますか?」。って、猫?いえいえ、答えは犬。

演奏が全て終わり、人垣の中から声があがった。「アンコール」。本来は津軽三味線にアンコールはないのか、“師匠”は戸惑いの表情を浮かべ、1つ息を吸って困った様にぼそっと呟いた。「アンコール?アルコールだば、好きだ。したばて。」思いがけない親父ギャグに、聴衆は沸いた。
13/07/20 りんご箱

店内

まかない丼@880円

せんべい汁@650円

青森駅前アウガ地階にある津軽三味線と郷土料理の店・りんご箱でランチ。

名前の通り、テーブルも椅子も棚も何もかも「りんご箱」を利用。それが、素朴でいい雰囲気を醸し出す。津軽三味線は1日2回公演。 三味線を聴きながら、海鮮に舌鼓を打つも良し。

超安「まかない丼」のネタは日替わり。 今日は、マグロに平目にサーモンにホタテ。この値段では申し訳ない様な豪華さだ。別に「せんべい汁」を注文したら「まかない丼には味噌汁がつくんですけど、大丈夫ですか。」とスタッフの若いお兄ちゃん。申し合わせた様に皆、ジャニーズ系のイケメン揃い。

郷土料理・せんべい汁は、比内鶏の出汁がとにかく旨い。せんべい汁の煎餅は普通の煎餅とは違い、少々固めに出来ているそうだ。「名物に美味いものなし。」と言うが、これは例外。
閑話
斗南藩

青森を経巡る程に、あちこちで見かける「斗南藩」。

斗南藩とは、会津藩が戊辰戦争後の明治2年に版籍奉還により許され立藩した北奥の旧陸奥南部領。戊辰戦争に敗れた旧会津藩士と家族17000人余りが会津を追われ移住したが、そこは風雪激しい火山灰土の不毛の地。飢えと寒さで、多くの人々が死んでいった。この斗南藩移住者の中に、同志社大学創始者・新島襄の妻(八重)の最初の夫・川崎尚之助がいた。彼は会津藩士とその家族を救うための米取引で騙され、喰うや喰わずの生活の後、慢性肺炎で命を落とした。兵庫県出身の彼と会津との縁は、妻・八重が会津人であったというだけのこと。ただそれだけの彼が、会津藩のために命を失ったのだ。

八重のため会津藩士に随行し、生き様の筋を通した彼にはここまでの人生しかなく、 彼と離れ京へ渡った八重にはその後の新島との同志社大学創設と言う華やかな未来が待っていた。運命とは言え、なんと不公平なのだろう。
13/07/20 青森フェリーーターミナル

青森フェリーターミナル
(津軽海峡フェリーターミナル)
出典:フィッシャーめん神奈川様

函館フェリーターミナルに比べると、極こじんまりとした印象。泊まる車も大型車がほとんどで普通車は少ない。なんだか、寂しい~。となると、夜中にトイレへ起きた場合を想定しなるべくトイレ近くに停車した。しばらく、寝付けぬもののやがて他愛もなく眠りにおちた。

それにしても、初めての東北への車中泊は予想もしない程に楽しかった。この旅の足場となったフェリーに感謝しつつ、いつまでもフェリーの運航が続くことを、ただただ願う。

※最後の夜、あたふたとする間に夜も更けて、写真を撮り漏れてしまった。フィッシャーめん神奈川様の写真を拝借。感謝。
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