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2012年 道南旅行記

「グレー」のコンサート会場・函館ベイエリアの「緑の島で」車中泊


12/07/23~12/07/25
巷は夏休み直前。混む前にちょろっと駆け足の旅へ

旅程
1日目 ●道の駅「YOU・遊・もり」 茅部郡森町
●中島廉売 函館市
●はこだて自由市場 同上
●函館フェリーターミナル 同上
●トラピスト修道院 同上
●函館ベイエリア 同上
2日目 ●新島襄海外渡航の地碑 同上
●駅二市場・活いか釣り堀 同上
●しかべ間歇泉公園 茅部郡茅部町字鹿部


泊まったところ ●緑の島 駅前やベイエリアが徒歩圏 函館市
●道の駅・くろまつない 施設良好・夜静かで快適 寿都郡黒松内町
温泉 ●市営谷地頭温泉 谷地頭温泉 函館市
●ぶなの森 黒松内温泉 寿都郡黒松内町
●雪秩父 ニセコ温泉 磯谷郡蘭越町
食べたところ ●海峡日和(函館フェリーターミナル) 日替わり定食(コロッケ)&いか刺し 函館市


食べたもの ●ソフトクリーム トラピスト修道院 同上
●やきとり弁当 ハセガワストア 同上


覚書 走行距離 692km
ガソリン 35.75リットル 4,676円

1日目   曇り
12/07/23 道の駅 「YOU・遊・もり」

道の駅「YOU・遊・もり」

オニウシ公園

国道5号線沿いにある道の駅。アーチ型の入口を潜れば、そこはオニウシ公園。 春は桜の名所として、人々で賑わうそうな。 花の季節を終えた桜の木々をみていると、その数の多さに盛りの美しさが偲ばれる。

展望ラウンジからは、駒ヶ岳などの美しい峰々を見渡す事が出来る。が、今日のこの曇天では。

入口の階段に座り、とうもろこしを銜えながらスマホを操作する青年。 道連れの自転車が、彼に寄り添っていた。さてと、駒ヶ岳も見られそうもなし、出発しようか。 と入口へ戻ると、彼が開店準備中の店員に歩み寄って言った。「あの、これから出発します。どうも、お世話になりました。」 満面の笑みを浮かべたその顔は、日焼けで真っ黒。 「気をつけてね。」と、店員が笑顔を返す。 2人の間にどんな交流があったのか、知るすべもない。 が、長い旅の途中にいる彼の心に、人とのふれあいの記憶がひとつ記された事だけは確か。 青年よ、楽しい思い出を沢山お持ち帰り下さいませ。
12/07/23 中島廉売


函館朝市・自由市場と並ぶ函館三大市場のひとつ、中島廉売。

廉売とは、通常よりも安く売る、またはその店という意味。 平たく言えば、安売りの市場。中島廉売は、 中島町大通り商店街とその前の歩道沿いの小さな店々から成り立ち、約70の店が軒を連ねる。 昭和9年の大火後、数百軒の露天商が並んだのが始まりとか。 昭和の佇まいを今に残す昔ながらの店が多く、妙に懐かしい。昔は、すべて対面販売だったが。

安くて美味しい廉売寿司の店がある、と聞いた。 「シゲちゃん寿司」という立ち食い&持ち帰り専門店。 ランチで生寿司セット(握り8貫と鉄火3貫)@500円。 生ちらしセット@600円。私は単品で「たこ頭の炙り握り」と生ちらしセット。 と、オーダーまで決めていたのに、定休日の張り紙。あぁ、無情!
12/07/23 はこだて自由市場

はこだて自由市場

函館三大市場のふたつめは、はこだて自由市場。昔の新川市場。

鮮魚、青果、乾物など60軒の店が並ぶ。 魚介類の店が多い かつて3年ほど函館で単身赴任をしていた家人によると、 当時は鮮魚一色で土産物の店はなかったと。 1995年の火災で建物は焼失したが、復活。 現在も函館の人々の胃袋を預かる。 しかし、観光化は確実に進んでいた。 店の女性に蟹を持たせ、写真撮影に余念がない観光客も珍しくない。

海鮮丼の店は値段が朝市なみで、旅行誌などの評判程には値ごろ感がなかった。
12/07/23 函館フェリーターミナル

函館フェリーターミナル

ハートが人気の撮影スポット

2Fに、ねぷた武者絵のミニ山車

まずは、今夜の停泊地をリサーチ。 函館市内に道の駅がないので、駅から近い所となるとフェリーターミナルがよろしいようで。 しかし、口コミによると24時間フェリーの発着があり、都度アナウンスが流れるし 、車のエンジン音はするし、停める場所をよくよく検討した方がいいと。

来てみれば、広くて奇麗でいいところ。海と潮風が心地よい。

海峡日和

食堂(海峡日和)

日替わり定食(コロッケ)@500円

いか刺し@550円

潮風とともに、美味しそうな匂いが運ばれてきた。フェリーターミナルにある食堂「海峡日和」からだ。窓際の席からは、海が見える。

今日の日替わり定食は、コロッケ。大きなコロッケ2個とご飯とみそ汁と香の物、これで@500円なんて信じられない安さ。ご飯は大盛り無料。揚げたてのコロッケは、ほこほことほっぺが落ちそうだ。単品でいか刺しも注文。厨房では、絶え間なくやってくる客をさばくのにてんやわんやの様子。いか刺しを受け取りに行ったら、ご飯とみそ汁がついた定食が出てきた。単品を注文したのに、定食と勘違いしたらしい。醤油に浸して一口。「?なんか変。これは、ソースだ。」スタッフが、醤油皿に間違えてソースを注いだらしい。厨房は戦場の忙しさだ。

何はともあれ、この安さと美味しさの前ではなんて事もない。揚げたてのコロッケは、道産じゃがいもを使っていて、本州からの観光客には又とない北海道B級グルメ。しかも、のんびりと海を見ながらの食事は格別♪
12/07/23 トラピスト修道院

トラピスト修道院

修道院への道
(人気の並木道)

ソフトクリーム@320円
トラピストクッキーが添えられる

トラピスト修道院、正式名称・厳律シトー会 灯台の聖母トラピスト修道院」。 国内初の男子修道院として知られる。

1896年9名の修道士が来日し、北斗市渡島当別に修道院を開院したのがはじめ。修道士たちは酪農や農耕に従事し、1902年オランダからホルスタイン乳牛を輸入したのをきっかけに、道南の酪農の発祥地となった。さすが、ここのソフトクリームは、バターの風味が濃厚で美味い!

修道院までの長くまっすぐ続く並木道。風が木々の梢をならす。この牧歌的風景を歩いていると、心が洗われる気がする。1902年、修道院は火災に見舞われ、再建されたのが今の建物。赤煉瓦のゴシック建築が醸し出す荘厳な雰囲気は、えもいわれず美しい。

建物内部は女人禁制。見学も男性のみで、事前に葉書による予約が必要。奥へと歩を進めたら、扉が開いていた。中へ入っていいのか?いえいえ、これより先は見学者のみ立ち入り可。偶然にも、週1度の見学日・月曜日の午後2時きっかりに迷い込んでしまったみたい、私たち。
12/07/23 市営谷地頭温泉

谷地頭温泉は、函館山東麓にある市営の温泉。@420円。

1951年に函館市水道局が掘ったもので、1998年にリニューアルされた。浴室はかなり広く、浴槽は高温と中温と気泡の3つ。湯の色は赤茶濁色。子供の頃、白いタオルを持っていくと1回で粘土色に染まってしまった。今は昔よりも湯の色が薄くなった、と言うが。湯温は熱め。熱い湯が大好きな家人は、大喜び。左の写真は、温泉入口でツレ(白いシャツ)が遭遇したおじさん。上半身裸で、頭にはタオルを乗せ、茹でたタコみたいに真っ赤な顔で「あつい。」を連発しながら、建物から飛び出してきた。

休憩室では、弁当などを持ち込む人も多く、職員も見ないふり。食堂はないが、今どきこんなアットホームな雰囲気も市営ならでは。

あぁ、いい気持ち♪外へ出て、はたと思いだした。五稜郭を模した五角形のヒノキの露天風呂があると、以前聞いたような。やだ、露天風呂に気付かず、内湯だけで出てきちゃった。
12/07/23 緑の島

ベイエリアから見た緑の島

緑の島は、函館市にある8haほどの人工島。近々、水族館を建設予定とか。しかし、現状は駐車場・芝生・ベンチがあるだけ。「何もないのが最大の特徴」なのだと。家族づれなどが、のんびりと過ごしていた。人気の観光地・元町地区からも近く、函館港やベイエリアを見渡せる最高の立地なのである。

さて、今夜の車の駐車をどこにするか。第一候補はフェリーターミナルだが、夜中の発着を知らせるアナウンスで熟睡は難しいかも。 で、緑の島を下見。基本的には夜5時にはゲートが閉鎖になり、車は退去させられる。しかし、ゲート前には停められる、とのこと。 しかも、ゲートが閉まっても、中のトイレは一か所だけ使えるのだ。景色はよいし、ベイエリアは近いし、宿泊地としては断然ここが有力。問題は、トイレが少々遠いこと。 「夜中にトイレに行く時は、(自分を)起こせ。」との家人の心強い一言で、宿泊決定。
12/07/23 函館ベイエリア

西波止場

金森赤レンガ倉庫群

函館観光遊覧船ブルームーン

函館ベイエリアに、夜の帳が下りた。

西波止場から金森倉庫群あたりを、夜の散策と洒落込んだ。明治20年、営業倉庫として出来た赤煉瓦倉庫群は、当時の函館の隆盛を、今に物語る。その頃の函館は、倉庫不足になる程に繁栄を極めていたという。が、昭和後期、北洋漁業の縮小などで倉庫業は勢いを失った。今は、観光のシンボルとして人気のスポット。

夜も更け店が閉まった所が多いのに、観光客が絶え間なく行き交う。海と赤レンガ倉庫群と潮風とかもめの鳴き声と。幻想的なベイエリアの夜。ここは函館!
2日目   曇り 時々 小雨
12/07/24 新島襄海外渡航の地碑

新島襄自筆の碑

東浜桟橋

江戸末期の1864年、21歳の新島襄は新しい知識を求め国禁の海外渡航であるアメリカへ渡るため、箱館へとやって来た。この地から、渡航を決行し10年後に無事帰国。京都に同志社大学を興す。碑は、1865年に香港で詠んだ自作自筆の漢詩。

新島襄とその妻・八重は、互いに尊敬しあい夫婦仲がよかったことで有名だが、八重の男勝りの性格は周囲との軋轢をうむ。襄はそれを優しく見守ったそうな。「夫が東を向けと言ったら、3年も東を向いているような女性は嫌です。」と言う襄ならでは。友人への手紙には、こう書かれていた。「彼女は見た目は決して美しくはありません。ただ、生き方がハンサムなのです。私にはそれで十分です。」。
12/07/24 駅二市場・活いか釣り堀

家人が釣り上げたいか

その場で捌く

まな板の上で踊りまわる足

活いか刺し

函館朝市の「駅二市場の活いか釣り堀」。「活いか刺しが食べたい。」という家人の要望で、朝の散歩がてら訪れてみた。値段は時価で、今日は@810円。

水槽の前で調理する店員さんにスタコラ歩み寄り「いか刺しください。」と私に「え、釣らなくていいの?」とびっくり顔を返された。当方の興味はひとえに「活いか刺し」を食する事で、釣ることは意識から飛んでいた。が、ここは釣り堀。「足ではなくて、エンベラの方をネ」とのアドバイスを受け、竿を借りて水槽に糸を垂らす。「意外に難しいゾ。」と家人。数分の格闘の末に、活きのいいイッパイを釣り上げた。

すぐに、水槽横の調理場で胴体と足が切り離されると、足の方がまな板から落ちそうな勢いで飛び跳ね回る。生姜醤油の皿の中でも暴れまわる足、口の中に吸いつきそうな吸盤、新鮮なゴロ、透きとおった身はこりこり。 旨すぎてビールが必須。って、まだ朝だ。
12/07/24 ハセガワストアのやきとり弁当

函館名物と言えば、ハセガワストアのやきとり弁当とラッキーピエロのハンバーガー。

車窓からハセガワストアを発見!焼き鳥と言っても、北海道の場合は鶏肉代わりに豚肉を使う。加えて、長ネギの代わりに玉葱バージョンもある。B級グルメに名を連ねる室蘭焼き鳥は、豚肉+玉ねぎ。ハセガワストアは、豚肉+長ネギ。目の前でジュージュー焼いた豚肉を、ほかほかのご飯に乗せて手渡された。まさに、出来たて♪ご飯にタレがいい感じで滲みている。焼き鳥は豚が最高。と思うのは、道産子の証だろうか。蛇足ながら、焼き鳥は長ネギが最高。@399円。 塩味も、あるそうな。
12/07/24 しかべ間歇泉公園

吹き上がる間歇泉

しかべ間歇泉は大正13年に温泉試掘により発見され、以来100度の熱湯を断続的に噴きあげている北海道随一の間歇泉。噴出泉の高さは最大15メートル以上。入園料@300円。

高く上がる熱湯の柱を前に、声も出ない。自然の凄さに、脱帽。

昔、傷を負った一頭の鹿が温泉で傷を癒すのを見て、温泉を開いたのが「鹿部温泉」の始まりと言われている。以来、多くの旅人や漁民に愛されてきた。園内には、足湯がある。 歩くのが旅の主流だった昔から、足を温め血行を良くし旅の疲れをとる足湯は、先人の知恵。

折からの雨、足湯でほっと一息ついた。疲れもふっとんだ。
12/07/24 道の駅・くろまつない

道の駅・くろまつない


ガーリックフランス・ホエー入り@220円

黒松内は、自生するブナの北限地。ブナは温帯を代表する樹木で、寿都―黒松内―長万部を結ぶ黒松内低地帯を北限にブナの森は途切れる。

道の駅・くろまつないは、公園やパークゴルフ場を併設し、施設が充実した奇麗な駅である。駅内のパン工場では、常時50から60種類の焼きたてパンが並ぶ。パン目当てに、札幌から買いにくる客も多い。一番人気の「ガーリックフランス・ホエー入り」を購入。最後の1個だったので、ツレと仲良く?半分こ。ほえぇ、ガーリックの香りが香ばしい♪

たとえ夜中に起きなくても、トイレが近くにあるというだけで何と快適なことか。朝、歯を磨いていた時に隣で顔を洗っていた70歳代の女性は、広島の人。もう2週間も北海道に滞在し、そろそろ帰ろうかと思っていると。滞在目的は、写真撮影。「じゃがいものピンク・蕎麦の白、花が見事だった。」とうっとりと語る。

彼女とあれこれ話しながら洗面所を出ると、他の車の前で見知らぬ男性と家人が談笑中。彼は、静岡ナンバーの軽の改造車。後ろのガラス窓には、行った先のステッカーがびっしり貼られていて、若いお兄ちゃんの車かと思っていたのだが、どっこい60才過ぎの1人旅の男性だ。59歳で脳梗塞に見舞われ、幸いにも後遺症なく回復。しかし、会社の首切りで職を失った。6月初めから北海道にいるのだと。見ず知らずの3組での会話は、話が縦横で味わい深い。「あら、素敵!ちょっと見せていただいていいかしら。」と広島の彼女が静岡車の前部座席に頭を入れると、天井部分に下げられたマスコット人形の多さに、びっくり仰天。静岡の彼の弁によれば、子供の頃に買えなかったから今になって大人買いしているのだと。

広島の彼女は、聞き上手。そして、控え目で出張らない。が、好奇心旺盛。北海道の蕗の背が高くてびっくりし、コンビニ・セイコーマートで売られている100円惣菜・蕗の炊いた物の美味しさに魅せられたそう。

やがて、我らを除く2組は、それぞれに青森のねぷたに向けて南下していった。
12/07/24 黒松内温泉・ぶなの森


道の駅から車で10分と聞いていたが、すでに20分は走ったような。正真正銘、源泉かけ流し。建物も立派。入湯料@500円。大休憩場あり。

休憩室で「ここの湯は体の芯から温まるので、長万部から入りに来ているの。」との声が、聞こえてきた。確かに、湯上りも体がぽっかぽか。別の女性は、ここでばったり会った知人に言った。「もう、はまっちゃって年間入浴券を買ったさ。」。

中にある食事コーナーのメニューは、安い。むっちりしたおむすびが2個で200円とか。蕎麦やうどんやカレー、晩酌セットなどなど、いづれも廉価での提供。家族連れが、気軽に風呂と夕食を楽しんでいた。家族は、支払う財布がひとつ。単価が高いと、主婦はキツイもの。これは、繁盛する筈だ。温泉は言うに及ばず、施設もよくて、再訪したい最有力候補。
3日目   曇り
12/07/25 雪秩父

湯さわり階段

連日の温泉に味をしめた温泉大好きな家人に、火がついた。 「帰りに、ニセコの雪秩父へ寄っていくか?」。入湯料@500円。

蘭越町は後志支庁の南西部。周囲をニセコ連峰と羊蹄山に囲まれた盆地である。ニセコ温泉郷の中でも、ここ雪秩父は強烈な硫黄臭が漂う硫黄泉。町営の国民宿舎・雪秩父の裏には大湯沼がひろがる。

雪秩父は、1966年の開業。館内は建設当時のままで、今時珍しい古色蒼然たる雰囲気が度肝を抜く。風呂は内湯が2つに露天風呂が5つという豪華な内容なのだが、設備が古い。ただ、温泉そのものは、裏の大湯沼から引いた単純硫黄泉と鉄泉の2本が使用され、なかなかによろしい。女性に人気なのが、泥風呂。湯船は小さめながら、浴槽の底に10センチ程度沈澱している泥を、手ですくって顔やら首にぬったくる。最高の泥エステ。湯からあがってくると、なんだか大騒ぎ。 露天風呂に蛇がいたと言い、従業員が捕獲に向かった。

男湯の方では、家人が横浜在住の男性と出会い、山登りの話に花が咲いた模様。彼は、百名山の99山を制覇し、最後の山に登りにきたのだと。今日は天気が悪いので、明日大願成就の予定。「百名山達成」と書いた横断幕を作って持参したと、照れくさそうに笑っていたとのこと。明日が、きっと晴れますように。おめでとう♪
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